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人食いライオン映画「ゴースト&ダークネス」 [シネマクラブ]

1996年製作・公開(日本では1997年)の「ゴースト&ダークネス」と
いうヴァル・キルマー主演のアメリカ映画がありました。



映画が作られた年から逆算すると約100年前のケニアで、鉄道の工事現場に
現れた「ゴースト」と「ダークネス」と名付けられたライオンが、現場作業員
など、135人の人間を食い殺したとされている人食いライオン伝説を映画化
したもので、5500万ドルの製作費をかけた大作の割にはアメリカ国内では
約4000万ドルの回収に終わり、興行面で失敗作に相当する作品でした。


実話の映画化とされ、射殺されたライオンはシカゴのフィールド自然史博物館
に剥製が展示されているのでライオンが工事現場に現れて作業員を襲ったのは
事実でしょうが、その人数が135人から140人というのは、かなり怪しい
と個人的には思っています。

The Ghost and the Darkness_lion.jpg

当時はまだ英国の植民地だったために作業員は全て現地の人と同じく植民地の
インドから連れてこられた人で、現場を監理・監督するのは英国人技師という
構図だったため、実際には奴隷も同然のような処遇の現地人が何人殺されたか
なんてことは詳細な記録がないので本当は何人の人が殺害されたのかは未確認
という安倍政権の統計のような杜撰な話ですが、世界で最も獰猛なライオンの
話として伝説化しているのが実際のところです。

一昔前ならば伝説は伝説のままで終わるか、伝え聞いた人によってはさらに話
に尾鰭がついて135人という説が二倍にも三倍にも膨れて、ドンドン大きな
話に膨らんで語り継がれていくところでしょうが、現代は骨などの実物が確認
出来る限りはその組成などを調べることで、ライオンがどれだけの数の人間を
食料として必要としていたかということが判るようになっているために、検証
の結果、伝説は事実とは大きく違っていたことが確認されました。

調査資料の内容等からライオンを仕留めた技術主任のジョン・パターソン大佐
は、2頭のライオンは合計135人を殺したと主張しているのに対し、多くの
人が食い殺されたのに無策だったと批判されたウガンダ鉄道会社側は被害者は
28人だと反論したものの、パターソン大佐の資料の信憑性(当時の差別的な
見方では欧米人の主張が真実とされ、現地人の主張など聞く耳も持たなかった
というのが実際のところでしょう)が認められ、長い間ライオンは135人を
殺害したとされてきたわけです。

そのライオンたちの冤罪を晴らしたのは、射殺されたライオンの骨と毛だった
というのも、なんだか法医学者の上野正彦氏が書いた「死体は語る」みたいな
話なんですが、約100年前に真実を発見できなかった部分は現代ではかなり
解明できたということで科学の進歩はすごいなと思います。

検証した結果として発表された人間の推定の殺害数は片方のライオンが11人
もう片方がその倍ぐらいの24人程度となっていて合計でも35人程度だった
ということで多少の誤差があったとしても実際の4倍近くの人を殺害した極悪
ライオンということにされていたことになります。

パターソン大佐は自分自身がライオン退治の名声を得るために、事実を大きく
上回る被害者数を喧伝してライオンに被せてきたわけですが、ご本人もすでに
この世にはいないわけですので、誰かが怒るわけでもあるまいしと言われたら
確かに仰る通りでございます、という結論になってしまう話ではありますが、
もしかしたら工事中の事故死(いわゆる労災死)も全てライオンたちのせいに
したかも知れないので、ライオンの襲撃から作業員を救ったパターソン大佐の
勇気ある行動はかなりの粉飾だったかも知れないわけですよね。

そもそも被害者の数を多く発表したがる部分にも怪しい臭いが感じられるので
映画にもなった野生動物による襲撃はかなり胡散臭い話かもしれません。


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